便秘薬依存症になっていませんか?

市販されている便秘薬の多くはセンナ、大黄、アロエなどのアントラキノン系と呼ばれるタイプの下剤です。これらは大腸を刺激して便意をもよおすというもので、服用すると腸が激しく収縮して排便が促されます。本来、人間の腸は脳と密接に連動して働いています。食べ物が入ると腸では大ぜん動という動きが起こり、激しく波うって食べ物を運びます。このぜん動運動によって食べ物が直腸に到達すると、直腸反射が起こり脳に刺激が送られ、脳から便意という信号が発せられるのです。
便秘薬を使って排泄するということは、この一連の働きとは全く無関係に腸を働かせる行為で、薬の継続使用で次第に脳への信号が麻痺してしまい自然な便意を感じにくくなってしまいます。また腸自体も刺激になれていきますのでだんだん効果が薄くなり、服用の回数が増えたりさらに強い便秘薬に手を出し、最終的に下剤なしでは排便ができなくなってしまうこともあるのです。これを「便秘薬依存症」と言います。
下剤によって起こる排便の多くは下痢であり、これは体にとって大変な負担になります。下痢をすることによって大量の水分、ミネラルまで排出されてしまいます。そのため電解質異常が起こり、筋力の低下や不整脈・倦怠感・意識障害を引き起こす可能性もあるのです。また腸内には、人体にとってさまざまな面で有益な善玉菌が多数生息しています。下痢によってこの善玉菌まで流れ出してしまいます。
ほかにも大腸メラノーシスという、大腸の粘膜が黒ずんでしまう症状が現れることもあります。アントラキノン系の便秘薬を長期間服用している人によく見られ、薬の代謝の過程で腸にメラニン色素の沈着が起こることが原因です。自覚症状はありませんが、やがて腸管の神経に影響を与え、伸びきったような状態になり感度が悪くなります。こうなると自然な排便は困難となり、便秘薬が手放せなくなってしまいます。
下剤がないと排泄できない、便秘薬を毎日常用している、適量を超えて飲んでいる、薬を飲まないと安心できないというような症状は、便秘薬依存症の典型です。怖いのは、初めは適量を守って服用していたとしても、薬になれてくると効果を感じにくくなり、服用回数が増え、強い薬に手を出してしまい、結果便秘薬なしではいられなくなってしまうという悪循環に知らない間に陥ってしまいがちだということです。軽い便秘であれば、生活スタイルや食習慣を見直すことで改善するように努め、安易に便秘薬に頼ることはやめたほうが良いでしょう。すでに便秘薬依存症だと思われる方は、肛門科や胃腸内科・消化器内科を受診し、下剤 副作用がないか医師の指導を仰いでください。